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青年団の『北限の猿』を見てきました。
笑って、泣きました。 とてもよくできていました。 今日は上野動物園の北限の猿も話題だったようで。 公開初日6時間脱走だって。 それはさておき、 僕が見た平田さんの作品、妊娠に関する対話が入っているものがほとんどです。 『東京ノート』も、『カガクするココロ』もそうだし。 今回の『北限の猿』にも妊娠してしまったらしい大学生が出てきました。 相手は大学院生で、妻子もちで。 劇中での対話の中にあるのですが、 かつて南西諸島のある島では、妊婦が深い谷間を飛び越えて、 向こう側へ渡るという風習があったそうです。 それは食料が少ないためであるのですが。 最後の場面で その妊娠してしまったらしい女の子が、二つ椅子を並べて、 一方の椅子の上に立って、もう一方の椅子の上へ、 民謡のようなものを歌いながら、その谷間に見立てたものを 飛び越えるということをやるんです。 なんかね、ショックでした。 人間はそう簡単には変わらないってこういうことなのかって思って。 運を天に任せるしかなくなってしまうことがあるなあと思って。 でも、そんな、運を天に任せるようなことはしたくない、 みんなのことを考えたときに運を天に任せるなんて、 なんておかしなことなんだろうと。 科学をしている場で、こんな運を天にまかせるようなことが起きてしまうなんて どういうことなんだろうと。 僕もずいぶん運を天に任せて生きてきてしまったなあと思って、 自分を情けなく思ってしまった。 今も、運を天に任せて、谷間を飛び続けている。 谷間の感覚を徐々に広げながら。 それと、動物園のサル山にはボスがいるけれども、 野生の猿にはボスはいないんだ、という対話が出てきます。 餌付けされた猿はボスがいて、上下関係がはっきりしているけど、 野生の猿にはボスはいないって。 今の日本人は餌付けされちゃってるんですね、って。 餌付けされていなければ、僕らは運を天に任せることなんて しなくて済むのではないかと思いました。 餌付けしているのはだれなんだろう。 自らそうしてきたんだけれども、 楽に食料にありつくためにそうしてきたんだろうと思うけれども、 どうも行き過ぎている気がします。 そうね、許しちゃだめなんだけど、 相手の存在を許すことができるのが、人間のいいところなのか? 僕は、今、仏教をもう少し知りたくなっています。
by Rhino_Horn
| 2010-01-25 00:52
| 演劇
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